不動産事業を営むうえで、資金が不足してしまうケースもあるでしょう。そのときに活用できるのが助成金です。公募によって異なりますが、およそ数十万円から数百万円の資金が援助されます。
しかし、不動産に関する助成金の利用が初めてだとわからないことが多く、利用を検討しづらい方もいるかもしれません。
そこで今回は、不動産に関する助成金の種類や申請手続き、探し方などを解説します。
そもそも助成金とは?
企業や団体が活動するには、資金が必要です。資金調達の手段としては、メンバーの会費や、地域からの寄付金、バザーによる収入などがあげられます。
助成金も資金調達の手段ですが、ほかの手段と何が異なるのでしょうか。
助成金とは、申請や審査を前提に特定の活動や事業を支援するための資金です。まとまった金額を確保できる一方、各団体と競争して審査を突破しなければなりません。
審査を突破するには、公募されている助成金のテーマに合致している活動や事業を提案し、地域や社会にもたらすメリットを明確に伝えることが重要です。
助成金と補助金の違い
助成金と補助金はどちらも資金調達の手段ですが、違いが気になる方もいることでしょう。助成金と補助金の違いを解説していきます。
用語の意味に違いはない
助成金と補助金はどちらも、国や地方公共団体、民間団体から給付されます。
助成金と補助金の違いは、ほとんど区別されておらず、慣例的にどちらかの用語が使われることが多い現状です。
たとえば、厚生労働省の場合は助成金、経済産業省の場合は補助金と呼んでいます。
ただし、細かい特徴に目を向けると、異なる性質や傾向も見られます。
目的が違う
たとえば、厚生労働省や経済産業省の助成金や補助金を比較すると、目的が異なることがわかります。
厚生労働省は、生活の安定を推進する機関であり、主に雇用の維持を目的とした助成金制度を整備しています。
その一方で経済産業省は、民間の経済活力を向上させる機関であり、主に事業育成を目的とした補助金制度を整備しています。
このように助成金や補助金は、制度を整備している主体によって、目的が違うのも特徴です。
不動産に関する助成金・補助金の種類5つ
不動産に関する支援の種類はさまざまです。不動産に関する助成金や補助金の種類を5つ解説していきます。
1.不動産のリフォーム
既存の戸建住宅や共同住宅などをリフォームする際に利用できる助成金があります。
たとえば、3世代同居対応改修工事費や、子育て世帯向け改修工事費など、住宅の性能を向上させる工事費などが対象です。
リフォームで申請可能な2021年グリーン住宅ポイント制度については、こちらになります。
2.不動産のシステム導入
家庭や事業者に向けて燃料電池の利用拡大を補助する助成金があります。不動産に省エネ設備を導入したいケースに役立つことでしょう。
3.不動産の再活用
一戸建てや共同住宅の空き家を、事業所や地域交流の拠点として改修する際に支援してくれる助成金があります。
空き家を再活用することで、地域の活性化や生活環境の安全向上に貢献できます。
4.不動産の賃貸支援
事業者が営業を継続・再開できるよう、家賃や地代などの負担を軽減する目的の助成金があります。不動産事業におけるトラブルが起きたときに、重要な役目を果たすことでしょう。
5.不動産の解体
空き家の解体・撤去を行うときに費用を一部補助してくれる助成金があります。ただし、店舗や工場、賃貸住宅など、営利目的の建物が対象にならないケースもあり、運営主体ごとに確認が必要です。
不動産に関する助成金・補助金の例3つ
不動産に関する助成金や補助金の例を3つご紹介していきます。
例1.県産材を活用したふくいの住まい支援事業
福井県建築組合連合会は、県産材を使った住宅のリフォームに関する補助金制度を実施しています。
対象となる工事は、増築や改築、模様替えであり、対象となる部分は、住宅の本体および塀や蔵、小屋、車庫といった外構です。
助成額は上限15万円であり、補助率は定額となっています。
例2.練馬区商店街空き店舗入居促進事業
東京都練馬区は、区内商店街の空き店舗で新たに起業や事業を検討している方を対象に補助金の交付を実施しています。
区内商店街の空き店舗を解消し、賑わいを回復することが目的です。
助成額は上限100万円であり、補助率は区内改修事業者への発注が2/3、区外改修事業者への発注が1/2とされています。
例3.充電設備導入促進事業
東京都地球温暖化防止活動推進センターは、充電設備導入に際して経費の一部を助成する取組を行っています。
対象は、集合住宅における電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などに関する充電設備です。
助成額は、急速充電設備だと設備購入費が全額、設置工事費が上限309万円であり、普通充電設備やV2H等だと設備購入費が半額、設置工事費が上限81万円に設定されています。
不動産に関する助成金・補助金を申請する流れ
不動産に関する助成金・補助金を申請するときの流れを解説していきます。
ステップ1.事前相談
事業採択を申請する前に、必要に応じて運営主体に相談をします。その後、指示に従いつつ関係各所と連絡や調整をお行います。
ステップ2.事業採択の申請・決定
事業採択申請書をはじめ、事業計画書や月次売上、予実管理表など、運営主体に提示された必要書類を提出します。
専門家に事業計画書の内容をヒアリングしてもらい、事業採択の可否が決定・通知されます。
ステップ3.助成金・補助金の交付申請
採択が決定されたら交付申請書を作成して提出します。交付申請が審査され、補助金額(予定)が決定・通知されます。
ステップ4.事業完了報告
助成金や補助金に関する対象経費の支払いが完了したら、事業完了報告を提出します。
ステップ5.助成金・補助金の請求と受取
事業完了報告を受けた運営主体が、助成金・補助金の金額を確定・通知します。通知で同封された請求書で請求すると、指定口座に入金されます。
不動産に関する助成金・補助金の探し方(まとめ)
助成金や補助金は、制度を整備する運営主体の目的が反映される傾向にあります。
したがって、運営主体の目的が不動産と関係がなければ、自分が求める助成金や補助金が見つかりづらくなるでしょう。
そのため、不動産に関する助成金や補助金を探す際は、まず運営主体の目的を正しく理解することが重要です。
ただ、助成金や補助金は、さまざまな機関から膨大な量が公募されており、目的に応じた制度をどのように探せばよいか迷ってしまう方もいるかもしれません。
その点、助成金や補助金を一覧でまとめているサイトもあります。こちらが各自治体の補助金・助成金のまとめたサイトとなります。
サイトのフリー検索で、リフォーム、改修、空き家、解体などのキーワードを入力して探してみるとよいでしょう。
質問やもっと知りたいことがあれば、こちらのLINEから仲尾までご相談ください。