不動産投資家の中には、新型コロナウイルスの影響で家賃滞納者が増え、家賃の減収で悩んでいる人もいるでしょう。
共有スペースが多く、入居者同士の距離が近いシェアハウスでは、コロナ禍でどのような影響が出ているのでしょうか。
ここでは、
- シェアハウス運営者が行うコロナ対策のポイント3選
- コロナ禍でシェアハウスが受けた影響
- コロナ禍で生まれた新しいニーズ
などについて解説します。
記事の後半ではコロナ後のシェアハウス運営のポイントも解説するので、これからシェアハウス投資を始めたい人は参考にしてくださいね。
シェアハウス投資について詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
最近話題の「シェアハウス」とは?シェアハウス投資を成功させるポイント
シェアハウス運営者が行うコロナ対策のポイント3選
シェアハウスは、キッチンや浴室など共有スペースが多いため、入居者同士が濃厚接触になりやすい環境です。
そんなシェアハウスで運営者が行うべきコロナ対策のポイントは、以下3つの項目に分かれます。
- 衛生面に関する対応
- 入居者への対応
- 内見・入居希望者への対応
衛生面に関する対応
シェアハウスでは、複数の入居者が共同生活するため、完全に距離を取ることは困難です。
衛生面に関する対応では、共有スペースをいつも以上に清潔に保つことを心がけましょう。
具体的には以下の対応が挙げられます。
- 小まめな換気
- アルコール消毒、手洗い石鹸の設置
- 洗面所のタオルなど共有備品の撤去
- 入居者同士のお皿の共有を避ける
入居者への対応
シェアハウス内の環境整備だけでなく、入居者の意識を向上させることも、運営者として大切です。
メールやLINEで定期的に注意喚起するなど、入居者一人ひとりに呼びかけましょう。
また、入居者が体調不良となった場合の対応を事前に決めておくと、緊急時にも役立ちます。
入居者への対応の具体策として、以下のものが挙げられます。
- 手洗いうがいの徹底
- 外部からの訪問者を制限する
- 入居者同士の交流インイベントの中止
- 体調不良時のシェアハウス内でのマスク着用
- 発熱が続く場合の速やかな管理者への報告
シェアハウスに入居する人の中には、入居者同士の交流会やイベントを楽しみにしている人もいるでしょう。しかし、コロナ禍では感染拡大を防ぐために、大人数が集まるイベントは避ける必要があります。
ただし、必要以上に神経質になり過ぎると入居者のストレスが溜まり、トラブルが起こる可能性もあります。
オンラインのイベント開催など、入居者がコミュニケーションを取れる環境を作ると、入居者も安心できるでしょう。
内見・入居希望者への対応
コロナ禍のシェアハウスでは、新規の入居希望者への対策も大切なポイントです。
内見・入居希望者への具体的な対応は、以下の通りです。
- 海外からの入居希望者の14日間の自己隔離
- 訪問での内見時のアルコール消毒
- オンライン内見の対応
コロナ禍では、オンラインの内見に対応している物件も出てきています。オンラインの内見は、不特定多数の人との接触を避けられるため、既存の入居者にとってもメリットです。
オンラインで内見を実施する場合、ただ物件を見せるだけでなく、入居者の雰囲気やハウスルールの確認など、入居後のイメージが伝わるように配慮しましょう。
コロナ禍でシェアハウスが受けた影響とは?
コロナ禍でシェアハウスが受けた影響は、一時的な需要の減少です。需要の減少で考えられる原因について解説していきます。
外国人をターゲットにした物件の新規入居の減少
シェアハウスは、短期入居に対応でき、家賃も抑えられるため、外国人をターゲットにしている物件も少なくありません。
国際的な移動を制限されている現状では、新たに入国してくる外国人を確保することが難しいでしょう。
来日予定だった外国人が来日できないことが、需要減少の原因の一つとして考えられます。
人との交流を目的にしている物件の需要減少
シェアハウスの中には、趣味やイベント開催など、人との交流を目的にしている物件があります。
日常生活の中に交流機会があるシェアハウスは、合理的で入居者からも人気ですが、コロナ禍ではデメリットになるでしょう。
ただし、シェアハウスには、ゼロコミュニティ型や女性向けなど、さまざまなコンセプトがあります。
特に、プライベートを重視するゼロコミュニティ型は、入居者同士の接触を抑えられます。コンセプトによっては、コロナによる需要減少の影響は少ないでしょう。
シェアハウスのコンセプトや種類について興味がある人は、以下の記事も参考にしてください。
コロナ禍で生まれたシェアハウスの新しいニーズとは?
一時的に需要が減少する物件がある一方で、コロナ禍で新しいニーズも生まれています。
ワークスペースのあるシェアハウス
コロナの感染拡大を受け、各企業ではテレワークが導入されました。しかし、実際にテレワークを体験した人の中には、デメリットを感じた人もいます。
以下のデータは、テレワークを経験した人が感じたデメリット上位5項目と、デメリットを感じた人の割合です。
テレワークのデメリット
運動不足になる | 46.8% |
社内コミュニケーションが減った | 45.3% |
プリンターやスキャナーなど紙のやり取りができない | 40.8% |
勤務時間の線引きが難しい | 29% |
仕事のオンオフがしにくい | 26.8% |
特に注目するべき項目は、「勤務時間の線引きが難しい」「仕事のオンオフがしにくい」です。
長時間のパソコン作業に適した椅子やテーブルが自宅にない人や、子供がいる人にとっては、仕事とプライベートの区別がつきにくいという課題があります。
テレワークに適した環境が自宅にない場合、自宅とは別にワークスペースとして所有したいというニーズが生まれています。
低価格の物件
シェアハウスは、家具・家電付き、敷金・礼金不要など、初期費用を抑えられる点が大きなメリットです。
また、複数人の相部屋なら家賃1万円未満の物件もあるなど、家賃も抑えられます。
国土交通省の調査では、家賃が安いという理由でシェアハウスを選択した人は44.1%で、最も多い結果でした。(参考元:国土交通省 シェアハウスに関する市場動向調査結果について)
家賃の安さにメリットを感じている人が多いことからも、コロナ禍で収入が減少した人の中で、シェアハウスの需要がさらに高まるでしょう。
その他、シェアハウスのメリットについて詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。
シェアハウスのメリット・デメリットは?入居者と経営者別に解説
コロナ後のシェアハウス運営のポイントは?
コロナ後のシェアハウス運営のポイントは、時代のニーズに合わせて柔軟に対応していくことです。
2021年5月時点でも、一部地域で緊急事態宣言が発令されており、コロナの収束時期は不透明です。先述したテレワークスペースの需要は、今後も高まる可能性があります。
広いリビングスペースがある場合、長時間パソコン操作ができるテーブルや椅子を揃える、インターネット環境を整えるなど、テレワークスペースとして活用できるでしょう。
また、防音の個室がある場合は、テレビ会議スペースとしての活用もおすすめです。
まとめ
入居者同士の距離が近く、濃厚接触となりやすいシェアハウスでは、コロナ対策をしっかりと行うことが大切です。
一部の物件では、コロナの影響で需要が減少している一方で、テレワークスペースや低価格の物件など、新たなニーズも生まれています。
これからシェアハウス投資を始めたい人は、時代に合わせたコンセプト選びをすると、コロナ禍でのリスクを避けられるでしょう。