こんにちは、社会貢献型空き家オーナー倶楽部を運営している仲尾正人です。
シェアハウス投資は、空き家の活用方法として人気の不動産投資です。ただし、使っていない空き家をシェアハウスとして活用する場合、リフォームが必要になるケースがあります。
リフォームの目的は、シェアハウスに適した仕様にすることで収益性を上げるためでもありますが、法令を守るためでもあります。
入居者が快適に、安全に生活できるシェアハウスを運営するためには、法令の制限に関する知識を深めておくことが大切です。
そのためにキーポイントとなるのは「用途変更」という言葉です。
今回は、安全なシェアハウスを運営をするために必要な、用途変更に関する基礎知識と用途変更のための改修工事の内容について解説します。
こちらの記事では、一般的なシェアハウスに必要なリフォームと費用について解説しているので、リフォームを検討している人はご覧ください。
空き家をシェアハウスとして活用する際の用途変更とは?
シェアハウスは、建築基準法上で「寄宿舎」に該当します。そのため、一般的な住宅として使われている空き家をシェアハウスとして活用する場合、「寄宿舎」への用途変更が必要になるケースがあります。
用途変更とは?
用途変更とは、建物の用途を変更する手続きをすることです。建物を建築する際や改修工事をする際、自治体へ必要書類を提出し、用途に合った法令を遵守しているか確認を行います。
建築基準法での建物は、防火上や周囲の環境への影響を考慮して、さまざまな用途に分類されています。一般的な戸建ては建築基準法上で「一戸建ての住宅」、シェアハウスは「寄宿舎」です。
建物の用途によって制限が異なるため、用途変更するためには変更する用途の条件をクリアする必要があります。
つまり、用途が「一戸建ての住宅」の空き家をシェアハウスとして活用するためには、「寄宿舎」の用途に合わせる必要があるということです。
住宅のように個人が使用する建物は、基準が緩やかに設定されており、寄宿舎のように不特定多数の人が使う建物は、基準が厳しくなっています。
用途変更が必要なケース
空き家をシェアハウスとして活用する際、すべての空き家に用途変更の手続きが必要な訳ではありません。用途変更が必要になるのは、床面積200㎡を超える建物です。
床面積200㎡超えという条件は、2019年以前は100㎡超えとなっていたので、以前より緩和されています。
条件が緩和されたことで、用途変更の負担がなくなり、これまでよりも空き家を活用しやすくなりました。
ちなみに、国土交通省によると、戸建ての空き家のうち面積が200㎡以上の建物は約1割となっているため、ほとんどの戸建ては用途変更の条件に該当しません。
【注意】用途変更が不要のケースでも改修工事は必要
床面積が200 ㎡ 未満の場合、用途変更の手続きは不要ですが、建築基準法や消防法など関係法令へ適合させるための改修工事が必要です。
各自治体によって制限が異なるケースがあるため、空き家をシェアハウスとして活用する際は、必ず自治体の担当窓口や建築士など専門家に相談しましょう。
改修で寄宿舎に用途変更する際の工事内容
空き家を改修して寄宿舎に用途変更する場合、安全面に配慮した仕様にするための工事が必要です。ここでは、空き家を寄宿舎に用途変更する際の工事内容について解説します。
消防法関係の工事
消防法関係の法律に適合させるために、消火器や火災報知器の設置などが必要です。
戸建ての場合、火災報知器は住宅用のものでOKなケースがあります。また、部屋の数によって必要な火災報知器等の数も異なるため、地域の消防署に相談しましょう。

階段の幅
一般的な住宅と寄宿舎では、以下の通り階段の寸法の制限が異なります。
建物の用途別の階段の寸法
段差の幅 | 段差の高さ | ステッブ部分の奥行 | |
一般的な住宅 | 75cm以上 | 23cm以下 | 15cm以上 |
寄宿舎 | 75cm以上 | 22cm以下 | 21cm以上 |
上階が200㎡を超える場合 | 120cm以上 | 20cm以下 | 24cm以上 |
一般的な住宅と寄宿舎では、段差の幅は同じですが、高さや奥行の制限が変わり、寄宿舎ではより安全な仕様が求められます。
また、上の階の広さが200㎡を超える建物の場合、さらに厳しい基準が設定されているので、大規模なシェアハウス経営を検討している人は注意が必要です。
階段の防火区画
自治体によっては、階段の防火区画が必要です。
防火区画とは、火災が発生した際、火災の被害拡大を最小限におさえるために建物の区画を制限したものです。
火災発生時、発生場所から離れた場所にいる場合、火の気に気がつかず、逃げ遅れるケースがあります。
燃えにくい準耐火構造・耐火構造の壁や、防火戸などを使って建物を一定の区画に区切ることで、炎や煙を封じ込める仕組みです。こうすることによって、火が燃え広がることを防ぎ、入居者の避難経路を確保できます。
まとめ
シェアハウスを寄宿舎に該当させるための条件は、自治体によって異なるケースがあります。違法のままシェアハウス運営を始めないために、自治体の制限をよく確認する、専門家によく相談するなどの対応が必要です。
また、空き家は社会問題化していることもあり、改修費用に関して補助金を受けられるケースもあります。補助金の活用を検討している人は、以下の記事もご覧ください。