現在「住宅ローンを利用中」という人の中にも、不動産投資を希望している人も数多く存在します。
しかし、そのような人の中には「住宅ローンを借りているから不動産投資ローンの審査に通らない」と思っている人も多いのではないでしょうか?
確かに、同じく不動産を購入するためのローンですが、両者は全く異なる性質のローンで返済財源も異なるので併用することは可能です。
しかし、いくつか注意点もあるので把握しておきましょう。
住宅ローンと不動産投資ローンを併用する際の注意点について詳しく解説していきます。
住宅ローンと不動産投資ローンは併用できる
住宅ローンと不動産投資ローンは併用することができます。
「2つ借りたら返済ができないのでは?」と考えている人も多いかもれません。
しかし、2つのローンは返済する財源が異なるので、併用しても全く問題なく返済をすることができます。
住宅ローンと不動産投資ローンの返済財源について詳しく解説していきます。
住宅ローンは所得から返済するもの
住宅ローンの返済は所得から行うものです。
会社員の方が住宅ローンを借りた場合には会社員としての給料から住宅ローンは返済します。
そのため、住宅ローンは所得のない人は絶対に借りることができません。
例えば、無職で所得がない人は住宅ローン審査に通過することは不可能です。
不動産投資ローンや家賃収入から返済するもの
一方、不動産投資ローンは、ローンで購入する不動産から生じる家賃収入から返済するものです。
そのため、理論上は、借主がどんな仕事をしていくら給料を受け取っているかは審査には影響しません。
あくまでも返済原資は購入する投資用物件からの家賃収入ですので、物件の収支だけが審査対象となります。
返済とは無関係の申込者の給料などは審査の対象とはならないのが基本ですので、極端に言えば、無職の人でも購入しようとしている不動産に収益が見込めるのであれば審査に通過することが可能です。
そのため、住宅ローンを借りることができない無職の高齢者でも不動産投資ローンを借りてアパートを建てる事例などもあります。
住宅ローン借入ありの会社員が不動産投資ローンを借りる時の注意点
住宅ローンと不動産投資ローンはそれぞれの返済財源を確保することさえできれば併用することは可能です。
しかし、会社員の方が住宅ローンと不動産投資ローンを併用する際には次の3つのポイントに十分注意してください。
- 給料からの返済をあてにしない
- 自宅は担保に入れられない
- 住宅ローンで投資用不動産を購入できない
「住宅ローンと不動産投資ローンは明確に分ける」ということが非常に重要です。
住宅ローン借入ありの会社員が不動産投資ローンを利用する際の注意点を詳しく見ていきましょう。
給料からの返済をあてにしない
不動産投資ローンは家賃収入から返済すべきものです。
そのため、給料からの返済をあてにすべきではありません。
給料はあくまでも生活していくお金であり住宅ローンを返済していくお金です。
給料が入ってこなくても家賃収入でしっかりと不動産投資ローンを返済していくことができる見通しが立つ不動産へ投資を行いましょう。
自宅は担保に入れられない|担保割物件投資は難しい
すでに住宅ローンを利用している場合には、自宅を不動産投資ローンの担保に入れることができない点に注意しましょう。
不動産投資においては購入しようとしている物件の評価額が借入額を下回った場合、担保割れの部分を自宅などを担保に入れて補うのが一般的です。
例えば、評価額5,000万円の物件を購入するのに6,000万円のローンを利用する場合、1,000万円は担保割れになるので、不足分について自宅を担保に入れて補うパターンです。
住宅ローンを利用している物件はすでに住宅ローンの担保がついているので不動産投資ローンの担保に回すことはできません。
他に担保に入れることができる不動産がない場合には、担保割れの物件を購入することは不可能です。
販売価格<評価額となっているお買い得な物件を探すか、自己資金を用意した上で不動産投資ローンを利用しましょう。
住宅ローンで投資用不動産を購入できない
住宅ローンでは投資用不動産を購入できないという点にも注意しましょう。
不動産投資ローンよりも住宅ローンの方がかなり金利が低くなっていますが、これは本人が居住する住宅購入資金を融資するものだからです。
「金利の低い住宅ローンで投資用不動産を購入したい」と考える人もいるかもしれませんが、住宅ローンでは投資用不動産を購入できない点に注意しましょう。
住宅ローン借入がある人が不動産投資ローン審査に通過するポイント
住宅ローン借入がある人も不動産投資ローンを借りることができます。
しかしすでに借入がある状態ですので、住宅ローン借入がない人よりも審査難易度が上がってしまうことは間違いありません。
住宅ローン借入がある人が、不動産投資ローンの審査に通過するためには次の4つのポイントを意識することで審査に通過しやすくなります。
- 担保に余裕をもつ
- 自己資金を用意する
- 家賃収入から余裕を持って返済できる計画にする
- 住宅ローン借入のある銀行へ相談する
すでに住宅ローンを借りている人が不動産投資ローンの審査に通過するための4つのポイントを詳しく解説していきます。
担保に余裕をもつ
住宅ローンをすでに利用している場合には、自宅を不動産投資ローンの担保に入れることはできません。
そのため、評価額に比べて売買価格の低いお買い得な物件を購入することで、担保に余裕が生まれます。
担保に余裕があった方が万が一の場合に銀行が回収できる可能性が高くなるので審査に有利です。
できる限り担保に余裕を持った状態で不動産投資ローンへ申し込みましょう。
自己資金を用意する
できる限り自己資金を用意して借入額を少なくすることで担保に余裕が生まれて審査に通過しやすくなります。
例えば評価額5,000万円、売買価格6,000万円の物件を購入する際に2,000万円の自己資金があれば、評価額5,000万円に対して借入額4,000万円になります。
借入額に対して1,000万円も担保に余裕が生まれるので金融機関有利な融資とすることができます。
また、自己資金が多い方が借入額が少なくなるので、返済にも無理が生じません。
できれば必要総額の3割程度の自己資金を用意した上で、不動産投資ローンへ申し込みを行ってください。
家賃収入から余裕を持って返済できる計画にする
家賃収入ギリギリの返済額にするのではなく、家賃収入の半分〜6割程度が返済額となるような余裕のある返済計画を立てましょう。
家賃収入の半分〜6割程度の返済金であれば、もしも入居者が減ってしまってもある程度までは返済を行うことができます。
一方、家賃収入ギリギリの返済額であれば、たった1部屋の空室が出ただけでも返済が行き詰まるリスクがあります。
多少の空室が出ても返済には問題ないと判断できる程度の余裕のある返済計画を立てましょう。
住宅ローン借入のある銀行へ相談する
現在、住宅ローンを借りている銀行へ相談することで次の2つの理由から審査に通過しやすくなります。
- 借主のことをよくわかっている
- 他の銀行に住宅ローンを借り換えられてしまうかもしれない
住宅ローンをこれまで期日通りに返済していれば、「不動産投資ローンも問題なく返済できるだろう」と信用できます。
また、他の銀行から不動産投資ローンを借りてしまったら、すでに融資している住宅ローンも乗り換えられてしまうかもしれないと銀行は考えます。
住宅ローンを守るためにも、不動産投資ローンの融資に応じる可能性はあります。
住宅ローンを期日通りに返済しているのであれば、まずは住宅ローンを借りている銀行へ相談してみましょう。
こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
住宅ローンを利用していても不動産投資ローンを借りることは可能です。
しかし、返済的にも担保的にも住宅ローンを利用していない人よりは審査で不利になることがあるのは事実です。
審査に通過するためには次のポイントを押さえましょう。
- 担保に余裕をもつ
- 自己資金を用意する
- 家賃収入から余裕を持って返済できる計画にする
- 住宅ローン借入のある銀行へ相談する
住宅ローンと不動産投資ローンは全く異なる原資から返済するものですが、借金が多いことはリスクであることは間違いありません。
くれぐれも家賃収入だけで返済することができる収益性の高い物件へ投資を行ってください。