国の金融機関として、お堅い融資しか取り扱っていない印象のある日本政策金融公庫ですが、実は不動産投資ローンの融資も取り扱っています。
日本政策金融公庫は個人の投資用資金に対する融資は行っていないので、不動産賃貸業を営む方の事業用資金として不動産投資用の資金を融資しています。
「できる限り安心できる金融機関で融資を受けたい」という方に公的金融機関である日本政策金融公庫から融資を受けるのはおすすめです。
日本政策金融公庫の不動産投資ローンの特徴やメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
日本政策金融公庫の不動産投資ローンの融資条件
日本政策金融公庫の不動産投資ローンの融資条件は基本的に「不動産賃貸業の営業許可を取ること」という点だけです。
不動産賃貸業の許可を取り必要書類を揃えれば、あとは審査に通過しさえすれば不動産投資資金を借りることができます。
まずは、融資条件について詳しく見ていきましょう。
不動産賃貸業の許可を取ること
日本政策金融公庫から不動産投資ローンを借りるには不動産賃貸業の営業許可を取得する必要があります。
公的融資期間である日本政策金融公庫は投機資金を融資するようなことはしていません。
日本政策金融公庫は事業に必要な資金である事業資金融資を行っているので、不動産賃貸業の営業許可を取り、不動産賃貸業の業務に必要な事業資金として借りる必要があります。
そのため、他の金融機関のように個人の投資用資金として借りることは不可能です。
必要書類を提出できること
日本政策金融公庫から不動産投資ローンを借りるには、必要資金を提出しなければなりません。
必要書類は様々ですが、主なものとして次のような書類があります。
- 事業計画書
- 創業計画書
- 許認可を持つ証明書
- 不動産賃貸借契約書
この中で最も面倒なのが事業計画書や創業計画書です。
「いくらの売上を見込んで」「経費がどの程度かかるのか」という計画を立てて、その数字が日本政策金融公庫から実現可能性が高いと判断されなければなりません。
不動産賃貸業の場合には、入居率に基づいて売上の予測を立てるので、周辺の新築賃貸物件の入居率などを調べ、実現可能性の高い計画を立てましょう。
金利は1.0%~2.5%程度
日本政策金融公庫の不動産投資ローンの金利は共同担保(購入する不動産と、別の不動産の2つ以上の不動産を担保にすること)が提供できる場合で1%前後、共同担保を提供することができない場合には2.5%前後となります。
共同担保を提供することができる地主の方には有利なローンとなっています。
3%を超える金利設定になっているローンも多い中で、日本政策金融公庫の不動産投資ローンは比較的低金利だと言えるでしょう。
日本政策金融公庫の不動産投資ローンの審査の特徴
日本政策金融公庫の不動産投資ローンではかなり厳しい審査が行われます。
審査は様々な視点から行われますが、基本的には次の4つの点が重視されます。
- 事業計画で返済可能であること
- 高齢であっても借りることができる
- 売買目的の資金は借りられない
- 物件の評価額が借入額以上
厳しい日本政策金融公庫の審査に通過するための4つのポイントを詳しく見ていきましょう。
事業計画で返済可能であること
提出する事業計画書で融資金を返済できる見込みがないとお金を借りることができません。
つまり、周辺の入居状況と比較して見込まれる家賃収入がローンの返済金を上回っていない限りは融資を受けることができないでしょう。
高齢であっても借りることができる
日本政策金融公庫の不動産投資ローンは、事業資金として融資するため、個人の給与所得や属性などはあまり審査で加味されません。
返済原資はあくまでも当該不動産から上がる家賃収入ですので、借主が高齢であったとしても、不動産から返済可能な家賃収入が上がる見込みであれば審査に通過できます。
売買目的の資金は借りられない
日本政策金融公庫が融資するのは、不動産賃貸業に対する事業資金です。
不動産賃貸に必要な不動産を購入するための資金を融資するものですので、転売用の登記資金の融資を受けることは原則不可能です。
物件の評価額が借入額以上
日本政策金融公庫は不動産担保の評価を非常に重視しています。
そのため、基本的には評価額の範囲内までしか融資を行いません。
また、建築する土地と建物のほかに共同担保を提供すれば金利が引き下げになることから、担保を非常に重視しています。
優良な担保を提供できる人ほど審査に有利になるでしょう。
日本政策金融公庫の不動産投資ローンのメリット
日本政策金融公庫から不動産投資ローンを借りることには主に次の2つのメリットがあります。
- 金利が低め
- 団信なしでも借りられる
低金利で健康や属性に不安がある人でも借りることができるのがメリットです。
日本政策金融公庫の不動産投資ローン3つのメリットについて詳しく解説していきます。
金利が低め
日本政策金融公庫の不動産投資ローンの金利は1%〜2.5%程度となっており、民間金融機関の不動産投資ローンと比較して低めの金利設定となっています。
公的な融資機関である日本政策金融公庫はあまりに高い金利を取るようなことはしません。
比較的良心的な金利で利息負担を抑えることができるのは日本政策金融公庫のメリットだと言えるでしょう。
団信なしでも借りられる
日本政策金融公庫の不動産投資ローンは団体信用生命保険に加入しなくても借りることができます。
団体信用生命保険とは、借主に万が一のことがあったときに保険金からローンを返済するもので、家族にローンが残るのを防ぐことができます。
民間金融機関では団信加入が必須になっていることが多いので、健康上の問題があり団信に加入できないと審査に通過することができません。
一方、日本政策金融公庫の不動産投資ローンは団信加入が任意となっているので健康上の問題がある人でも借りることができる可能性があります。
不動産投資の融資を受けるまでの流れとは?3STEPでポイントを解説!
日本政策金融公庫の不動産投資ローンのデメリット
日本政策金融公庫の不動産投資ローンは大きなデメリットが2つあります。
- 返済期間が短い
- 新築物件でないと審査に通りにくい
短い期間でしか借りることができないので返済額が大きくなりがちという点と、中古物件では借りることが非常に困難という2つのデメリットには十分に注意しましょう。
日本政策金融公庫の不動産投資ローンのデメリットについてもしっかりと理解した上で借入を検討してください。
返済期間が短い
日本政策金融公庫の不動産投資ローンは返済期間が20年〜25年と、短めに設定されています。
30年を超えるような長期でローンを組むことができないので、毎月返済額が高額になりがちです。
場合によっては家賃収入よりも返済額の方が上回ることもあるので、優良物件でないと資金繰りがマイナスになり、借りることが難しいでしょう。
新築物件でないと審査に通りにくい
日本政策金融公庫は担保評価に対して非常に厳格です。
担保評価額の出ない中古物件の購入を希望しても審査に通過することは非常に困難です。
基本的に日本政策金融公庫の不動産投資ローンは、新築物件で高い入居率が見込める物件へ投資する資金しか借りることは難しいでしょう。
まとめ
日本政策金融公庫の不動産投資ローンは、不動産賃貸業の許認可を取った事業者に対して事業資金を融資するものです。
金利が低く、団信なしでも借りられるというメリットはありますが、審査が厳しく借入期間が短いのがデメリットです。
特徴をよく理解して、日本政策金融公庫の不動産投資ローンの利用を検討しましょう。