不動産投資は、成功すれば安定した収入を得られるため、“投資”として多くの個人投資家や会社員など幅広い方から注目を集めています。
そんな不動産投資に興味を持たれた方であれば、当然“リスク”についても考えることでしょう。
中には
「不動産投資はリスクが多いから危険」
「絶対に儲からないからやめたほうが良い」
「不動産投資で収益を上げられるのはほんの一部だよ」
など、マイナスなイメージや言葉を聞かれたことがある方も多いでしょう。たしかに、不動産投資はむずかしく、リスクが多いのも事実です。
しかし、“リスク”だけを見れば、すべての投資に共通しています。「うまい話にはウラがある」という言葉があるように、すべての投資は、そう簡単に収益を上げられません。
ただ、すべての投資に共通しているのは“リスクヘッジを確実に行えば、安定した収益を得られる”ことです。
そこで今回は、不動産投資の7つのリスクと対応策について詳しくお伝えします。
不動産投資で起こり得るリスクは7つ!
不動産投資で起こり得るリスクは7つです。
- 空室リスク
- 自然災害リスク
- 火災リスク
- 家賃滞納リスク
- 建物老朽化リスク
- 孤独死リスク
- オーナー死亡リスク
それぞれのリスク内容と対応策について見ていきましょう。
不動産投資リスク①:空室リスク
不動産投資で確実に収益を上げるためには、“空室”をいかに減らせるかがポイントです。
不動産投資において【空室=無収入】です。入ってくる収入がなくても、ローン返済等は必ず行わなければいけません。
不動産投資を行ううえでもっとも懸念しなければいけないリスクと言えるでしょう。
空室のリスクヘッジ
投資用不動産が空室であるには、必ず“理由”があります。
たとえば、
「周囲の物件に比べて家賃が高い」
「欲しい設備が付いていない」
「地域のニーズにマッチしていない」
「そもそも人の目に留まりにくい」
など。これらの理由を見つけ出し、対策を練ることが大切でしょう。
必要に応じて部屋の改修を行ったり、管理会社との打ち合わせをしましょう。
また、不動産投資を開始する前に、数か月程度、空室でも耐えられる資金を準備しておくと良いでしょう。
不動産投資リスク②:自然災害リスク
日本は“地震大国”や“災害大国”と呼ばれるほど、非常に災害の多い国です。
世界的に見れば日本は小さな島国で、その国土はわずか0.28%程度です。にもかかわらず、世界中で発生する地震の10~15%は日本で発生していると言われています。
そのため、不動産投資を始めるうえで、自然災害に対するリスクヘッジは必ず必要でしょう。
自然災害のリスクヘッジ
自然災害のリスクはすべて“保険”でカバーできます。地震であれば地震保険、その他の災害であれば火災保険で対応可能です。
火災保険の補償範囲はとても広く、火災以外の風災や雪災、ひょう災など、あらゆる災害に対応しています。(水災に限り、標準的にセットされていないケースがほとんどなので注意してください)
たとえ科学や技術が発展して自然災害を予測できるようになっても、自然災害を防止することは絶対にできません。
不動産投資用物件の規模によっては、火災保険費用が高額になりますが、大切なリスクヘッジとして加入されることをおすすめします。
不動産投資リスク③:火災リスク
火災リスクは、人が住んでいる以上、絶対に起こり得るリスクと言えるでしょう。
とくに、日本は木造住宅が多いため、周囲からの飛び火による被害も懸念しなければいけません。
不動産投資用物件に住む入居者が発生させた火災であれば、入居者に対して“原状回復”を請求できます。
しかし、周囲からの飛び火で発生した火災については、失火者に重大な過失がない限り、損害賠償を請求できません。
これは、“失火責任法”という法律によって「軽過失によって発生させてしまった火災は、賠償責任を負わない」と定められているためです。
ただし、借家人が発生させた火災は“債務不履行”となるため、重過失・軽過失関係なく損害賠償請求が可能です。
火災のリスクヘッジ
火災に対するリスクヘッジもやはり“火災保険”です。
一般的に、入居者にも火災保険へ加入してもらいますが、これは、入居者の家財や財産を守ったり、建物の原状を回復したりするための保険です。
入居者が加入する火災保険と不動産オーナーが加入する火災保険は、まったく別物と考えておきましょう。
不動産投資リスク④:家賃滞納リスク
家賃滞納は“人”に不動産を貸し出している以上、絶対に起こり得るリスクのひとつでしょう。
入居審査時には何ら問題がなかったとしても、入居後仕事を失う可能性もありますし、収入が減ってしまう可能性もあります。
入居審査時から「滞納しよう」と思っている方はそう多くありません。ほとんどの方は、入居後に発生した変化に対応できず、滞納してしまいます。
しかし、一度入居させてしまうと、そう簡単に“強制退去”はできません。再三の督促を行ったうえで、“信頼関係の崩壊”が裁判所に認められてはじめて、強制退去が可能となります。
一般的には、家賃滞納から強制退去までに半年~1年程度かかると言われています。
この期間は、家賃収入を得ることもできず、新たな入居者に部屋を貸し出すこともできません。
家賃滞納のリスクヘッジ
家賃滞納に対するリスクヘッジとして、“保証会社の介入”があります。
保証会社を利用すれば、入居者が家賃の支払いを滞っても、不動産オーナーは保証会社から家賃を受け取れます。
入居者が支払わなかった家賃は、保証会社で回収を行うため、不動産オーナーが苦労することはありません。
現在では、不動産投資をされている方のほとんどが保証会社を利用しています。
当然、費用は発生しますが、家賃滞納リスクヘッジとして検討されてみてはどうでしょうか。
不動産投資リスク⑤:建物の老朽化リスク
不動産も、ときの経過に伴って必ず劣化します。
劣化すれば当然修繕しなければいけませんし、修繕を怠って人にケガをさせてしまうと、賠償責任が発生します。
とくに、室内設備の修繕を怠ったことで、入居者にケガを負わせてしまうケースが多々あります。
修繕費は、不動産投資を行ううえで絶対に必要となる経費なので、修繕費を含めたキャッシュフローの作成を心がけましょう。
建物老朽化のリスクヘッジ
建物の老朽化のリスクヘッジは、“施設賠償責任保険”で対応可能です。
たとえば、
「建物の老朽化によって、外壁が剥がれてしまい、通行人にケガを負わせてしまった」
「エレベーターの故障によって、入居者にケガを負わせてしまった」
など、あらゆる可能性に対応している保険です。
不動産所有者の過失によって発生した事故はすべて、不動産オーナーが賠償責任を負います。
老朽化が見えれば、修繕するのが一番良いですが、もしものときのことも考えておきましょう。
不動産投資リスク⑥:孤独死リスク
社会問題としても取り上げられている“孤独死”。自分が所有する不動産で発生する可能性も考えなければいけません。
本来、貸し出した部屋で入居者が死亡した場合、遺族に損害賠償を請求できます。しかし、孤独死をされてしまうほとんどの方に、身寄りがいません。
そのため、修繕費を請求できず、泣き寝入りせざるを得ない不動産オーナーが多いです。
とくに孤独死は、死亡から発見までに数日以上経過しているケースが多く、臭いやシミが染み付いています。
そのため、新たな入居者を募集するためには、清掃費用や消臭費用、修繕費用など、さまざまな費用が発生します。
これらの費用を請求できる人がいなければ、不動産オーナー自身で支払うしかありません。
孤独死のリスクヘッジ
孤独死のリスクヘッジとして、“家賃費用特約”があります。この特約は、不動産オーナーが加入する火災保険にセットする形で加入できます。
また、単独での加入も可能なので、火災保険に加入されない不動産オーナーは、単独で加入しましょう。
そして、家賃費用特約の補償内容は、清掃や消臭、脱臭、遺品整理まで一貫して対応してくれます。
不動産投資を行うのであれば、社会問題とも言われる“孤独死”に対するリスクヘッジも必要でしょう。
不動産投資リスク⑦:オーナー死亡リスク
不動産投資を行っている自分自身が亡くなるリスクも懸念しなければいけません。
不動産オーナー自身に身寄りがいないのであれば、死後、遺産は国に帰属します。これは、負の財産であってもです。
ただ、相続人がいる場合に、オーナーが死亡してしまったらどうでしょう? 残された遺族が、不動産を相続しても本当に困らないでしょうか?
「ローンが残っている不動産」
「入居者が少なく、赤字気味の不動産を相続した場合」
など。本当に相続しても困らない不動産でしょうか?
現在のオーナーが収益性を見込んで購入した不動産であっても、不動産投資に関する知見がない方が相続すれば、意味がありません。
そのため、オーナー自身の死亡リスクも懸念しておいたほうが良いでしょう。
オーナー死亡のリスクヘッジ
オーナー死亡時のリスクヘッジは“団体信用生命保険”で対応可能です。
略して“団信保険”とも呼ばれるこの保険は、ローン契約者がローン返済途中で死亡または高度障害になった場合、残りのローン残高が0になる保険です。
不動産投資ローンでは、義務になっているケースは少ないですが、もしものために加入しておいたほうが良いでしょう。
少なくとも、遺族のローン返済負担だけはなくなります。
まとめ
今回は、不動産投資のリスクについてお伝えしました。
不動産投資は、自分の財産として不動産を残せるうえに、収益性を考えれば投資手法としてとても優秀です。
ただ、リスクも多い投資であるため、安易に手を出してしまえば失敗してしまう可能性も高いでしょう。
不動産投資で成功をするためには、リスクを把握し適切なリスクヘッジを行うことがとても大切です。
今回お伝えした7つのリスクを理解したうえで、安定した収益を上げられるように勉強も怠らずに続けていくと良いでしょう。