アパート経営が相続税対策として、大きな効果を発揮するのをご存じでしょうか?
とくに、アパートなど収益物件は相続税を大幅に減額できるとして、アパート経営が節税対策として注目されています。
現金で相続するのと比べて大きく節税できるケースもあり、活用しないと損なのです。
そこで今回は、アパート経営で相続税対策するメリットと注意点を解説します。
気になる方はぜひ参考にしてみてください。
アパート経営で相続税対策する5つのメリット
アパート経営に参入する方のなかには、相続税対策のためにはじめるという方がいるほど多くのメリットがあります。
実際、相続財産に占める土地と建物の割合は、現金・預貯金等より多いのが現状です。
参考:国税庁「平成30年分相続税の申告事情の概要」
では、アパート経営の相続税対策にはどんなメリットがあるのか、具体的に解説していきましょう。
相続税評価額を下げられる
相続税対策としてアパート経営をはじめる方が多い最大の理由が、相続税評価額を下げられる点です。
現金を相続する場合は金額のすべてに相続税がかかり、たとえば1億円の現金を相続するケースなら当然ながら1億円全額から相続税が計算されます。
一方、土地や建物の相続税の計算では、一定のルールに基づいた相続税評価額を用いるのが特徴です。
とくに、アパートなどの収益物件の場合は、さらに相続税評価額が下がる仕組みになっており、物件によって時価のおよそ30~50%まで減額されます。
すなわち、評価額1億円の収益物件を相続する場合、3,000~5,000万円程度の相続税評価額まで下がるのです。
収益物件の相続税評価額の計算式は、以下となっています。
建物の相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合) |
貸家建付地の相続税評価額=自用地とした場合の価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
ちなみに「借家権割合」は全国一律30%です。
さらに「借地割合」が路線価ごとに30~90%に定められているほか、相続時の入居率で算出される「賃貸割合」によって、満室に近いほど相続税評価額を減額できます。
このように収益物件の相続税評価額は、実際の資産価値と比べて圧倒的に低い金額で計算されるため、そのまま土地を相続するより大きな節税効果を期待できるのです。
土地を有効活用しやすい
使用していない土地を所有している場合、アパート経営に活用しやすいメリットがあります。
更地にアパートを建築すれば相続税を節税できるうえ、長期間にわたって収益を上げ続けることも可能です。
アパートは工業専用地域や市街地調整区域以外なら、場所を問わず建築できます。
貸店舗の場合は立地によって広さや地域が限定されるのに対し、アパートは建築規制が緩く手軽に建てられるのがメリットです。
また、アパートは木造や軽量鉄骨など安価な資材で建てられます。
土地所有と合わせて初期投資額を大きく抑えられるため、アパート経営初心者でも安心してはじめられるでしょう。
家賃収入を得られる
アパートを相続して経営を継続すれば、家賃収入が得られます。
アパートを売却して相続するのと比較して、相続税を大きく節税できると同時に毎月安定的な収益も期待できるわけです。
たとえば、株式の相続では景気変動のあおりを受けて、資産が大きく目減りするリスクがあります。
一方で、アパートの家賃や土地の評価額が急激に下がることは考えにくく、中長期にわたってリスクを抑えながら経営をおこなえます。
賃貸経営のリスクを減らせる
相続税対策としてアパート経営を活用する場合、テナントの入る事業系の建物と比べてリスクが少ないのもメリットです。
テナントの募集では賃料が高めなものの、入れ替わりが激しい場合には家賃を大幅に下げなければならないリスクがあります。
また、景気が悪くなれば空室が目立ち、よほど立地に優れたエリアでなければ事業が立ちゆかなく恐れもあるでしょう。
一方、アパートは住居であり、景気に左右されず常に安定した賃貸需要があります。
相続した土地を有効活用するならば、リスクを抑えながら比較的安心して継続できるアパート経営が適しているのです。
借入金を効果的に活用できる
所有している土地に相続税対策としてアパートを建築する場合、借入金を効果的に活用できます。
アパートの建築費用を金融機関から借り入れた場合、相続時に残額が残っていると「債務控除」を利用できるのです。
アパートや預貯金などの遺産総額から借入金を差し引けるため、相続税をさらに節税できます。
あえて借入金を残しておくことで、大幅に相続税を減額する効果が得られるわけです。
アパート経営で相続税対策する際の注意点
アパート経営は相続税対策として大変有効的ですが、注意すべき点もあります。
安心してアパート経営に取り組めるよう、相続税対策として活用する際の注意点をチェックしておきましょう。
品質の高いアパートで経営をおこなう
相続対策としてアパートを建てる際、質の高い優良アパートを建てるのが重要です。
たとえば、他社と比較して安い見積もりに飛びついたばかりに、品質の低いアパートが建築されてしまうケースがあります。
品質の低いアパートは後々の修復で多額な費用がかかる場合がありますし、入居者が住みにくいと感じてしまえば空室リスクを高めてしまうでしょう。
相続するときに空室が多いと、上記でご説明した賃貸割合にも影響してしまいます。
相続時に空室をなるべく抑えられるよう、質の高いアパートで経営をおこなう必要があるのです。
中古アパートを購入する場合も同様なことが言えるため、物件を選ぶ際は慎重に検討しましょう。
分割方針を決めてトラブルを防ぐ
相続人が複数いる場合、収益物件を平等に分けるのが難しいケースがあります。
とはいえ、不動産を売却して現金化してしまえば、相続税対策のメリットを受けられなくなるのは問題です。
したがって、相続時にトラブルに発展しないよう遺言書を残しておくなどの対策を考えておきましょう。
アパートや土地を購入する際は現金をフル活用する
アパートや土地を持っていない場合、購入してから相続対策しなければなりません。
現金で購入できるなら、あえてローンを利用せずフル活用するのがおすすめです。
支払える現金があるのにかかわらずローンを組み、相続時に現金を残してしまうと相続税対策の効果が薄れてしまいます。
ただ、ローンは債務控除を利用できるため、現金で足りない分を補うとよいでしょう。
現金はなるべく土地に変えて相続税評価額を下げるのが、相続税対策ではもっとも有効的なのです。
まとめ:アパートを相続するか悩んだら
収益物件の相続が税金対策に効果的とはいえ、アパートを相続すべきか悩む場合もあるでしょう。
たとえば、ローンの残高が多すぎて払い続けられるか不安、築年数の経過で修繕費やリフォーム代が高額になりそう、といったケースです。
また、近隣にトラブルが多く治安が悪いなど、不安材料が尽きない場合もあるかもしれません。
相続するか迷った場合には、今後継続的に収益を上げられるかしっかりと調査・検討・シミュレーションのうえ、結論を出すようにしましょう。
もし自分だけで結論を出すのが不安なら、不動産投資のプロに相談してみるのも方法のひとつです。
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