アパート経営を成功させるには、経費を賢く活用する必要があります。
家賃収入から経費を差し引いた額に応じて納税額が決まるため、経費を多く計上するほど手元に残る利益は増えるわけです。
ただし、アパート経営の経費にはさまざまな項目があり、どれを経費に含めてよいのか迷ってしまう場合も少なくありません。
そこで今回は、アパート経営で計上できる経費とできない経費を解説します。
これからアパート経営をはじめてみたい方や、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
アパート経営に必要な経費とは
アパート経営では共用部の修繕費や入居者募集の広告費など、さまざま経費を計上できます。
ただし、事業に関係ない経費は計上できず、やみくもに計上してしまうと税務調査が入った際に否認される恐れがあり注意しなければなりません。
とくに、家族での食事代や自宅の備品など、プライベートに関する費用は経費として認められないため注意が必要です。
アパート経営で計上できる経費
アパート経営と直接関係のある費用は、経費として計上可能です。
まずは、アパート経営をはじめとする不動産投資で、経費として計上できる項目をみてきましょう。
税金
一般的に税金は経費の対象にならないものの、物件購入時に納める税金や固定資産税は例外として経費計上が認められています。
- 固定資産税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 事業税
減価償却費
アパートの購入代金や設備機器費用は経費として計上できます。
減価償却費とは、定められた「耐用年数」に応じて毎年少しずつ分割で費用を計上する方法です。
10万円以上の資産は一括で経費として計上できず、減価償却費として処理しなければなりません。
建物は構造によって耐用年数が異なり、木造アパートの場合は22年と定められています。
管理費
アパートを管理する費用や、管理会社に委託した際に支払う管理委託費を経費として計上できます。
たとえば、下記のような費用が計上可能です。
- エレベーターなど共用部の点検費用
- 保守管理費用
- 清掃費用
修繕費
共用部の修繕費や退去時のクリーニング代、排水管工事などにかかった費用を修繕費として計上できます。
広告宣伝費
入居者の募集にかかった費用を、広告宣伝費として経費計上可能です。
不動産会社に集客を依頼した場合の費用はもちろん、自前でパンフレットやチラシを用意した際の費用も含まれます。
仲介手数料
アパートを購入した際、不動産会社に支払う仲介手数料を経費として計上できます。
保険料
アパート購入時に加入した火災保険や地震保険、施設管理上の事故に対して補償する損害賠償責任保険などの保険料を経費として計上可能です。
一括払いや年払い、月々払いなど支払い方法にかかわらず経費で落とせます。
通信費・水道光熱費
アパート経営に関連して使用した電気料金や電話料金、インターネット使用料などを経費として計上できます。
ただし、事務所を構えずに自宅を事務所として利用している場合、「家事按分」によって事業での使用分のみしか計上できないため注意が必要です。
借入金の利息
アパート購入時にローンを組んだ場合は、借入金元本の利息分を経費として計上できます。
給与
青色申告事業者としてアパート経営をおこなっている場合、雇用している従業員に支払う給料を経費として計上できます。
ただし条件があり、「貸与できる室数がおおむね10以上」と基準が定められているため注意してください。
新聞図書費
アパート経営に関する情報収集で新聞や書籍を購入した場合、経費として計上可能です。
事務用品費
アパート経営での帳簿付けや書類作成で使用するボールペン・紙類・ハンコなど、事務用品を経費として計上できます。
消耗品費
カメラやパソコンなど、アパート経営上必要な機材等の購入費用を経費として計上可能です。
ただし、10万円以上の場合は減価償却費として計上しなければなりません。
交通費
自宅から所有するアパートへ向かう電車賃や車のガソリン代など、アパート経営に関係のある交通費を経費として計上できます。
アパート経営で計上できない経費
アパート経営では多くの費用を経費として計上できる一方、認められない費用もあります。
なかには、経費として計上できると勘違いしがちな費用もあるため、しっかりとチェックしておきましょう。
借入金の元本
アパート購入でローンを組んだ場合、利息分は経費として計上できるものの、借入金の元本は経費として扱えません。
アパートの購入代金は、減価償却費として毎月経費で落とせます。
アパートに関係のない税金
固定資産税やアパート購入時にかかる不動産取得税などは例外として経費計上を認められていますが、個人の所得税や法人税は計上できないため注意が必要です。
修繕積立金
一般的にアパート経営では、将来の大規模修繕に対応すべく修繕費を積み立てています。
修繕費は実際に支出したタイミングで経費として計上できるものであり、毎月一定額を積み立てている時点では計上できません。
白色申告者の専従者給与
アパート経営を事業として展開していない方、すなわち青色申告をしていない場合は雇っている方への報酬を経費として計上できません。
要するに、アパート経営を手伝っている妻や子どもに報酬を支払うのは自由なものの、経費として利益から差し引くことはできないわけです。
交通違反の反則金
仮に、所有しているアパートに出向いた際に路上駐車して違反切符を切られた場合、支払う反則金を経費として計上できません。
反則金の支払い自体がアパート経営と直接関係があるわけではなく、経費として認められないため注意してください。
経費で節税するなら法人化を検討しよう
アパート経営が軌道に乗り、多くの利益を得られるようになったら法人化を検討しましょう。
法人は個人事業と比べて経費の範囲が広く、より節税する効果が期待できます。
アパート経営で年間800~900万円超の利益が出るようになれば、所得税より法人税のほうが税率の低い点にも注目です。
自分への給与をあえて低く設定して経費を上手に活用すれば、利益を最大限に生かせます。
さらには、給与所得控除を適用したり、退職金の積み立てを費用にしたりなどにより、最終的には個人の手元に多くの利益が残るシステムを構築できるわけです。
また、法人では赤字を10年繰り越しできるため、2棟、3棟と事業を拡大する際に多くの経費を計上できるメリットがある点も押さえておきましょう。
まとめ
アパート経営では、経費を多く計上するほど課税所得が減って節税になります。
しいては利益を多く確保できるようになり、潤沢な資金を活用して所有アパートを増やすなど、さらなる事業展開も可能になるわけです。
ただし、経費として計上できる費用とそうでないものがあるため、今回解説した内容を参考に賢く節税して不動産投資を成功へと導きましょう。